CDLニュースレター

腐敗認識指数(CPI)

作成者: Hirofumi Yamazaki|Mar 11, 2022 1:28:00 AM
 ■腐敗認識指数(CPI)  
 2021年腐敗認識指数(CPI)の公表  
 
1月25日にグローバルで汚職・腐敗の防止を促す社会システムを構築し、撲滅を目指し活動している国際NGOの国際透明性機構=Transparency International (TI)が、2021年の腐敗認識指数(CPI)を公表しました。今回は、その内容を見ていきます。  
 
腐敗認識指数(CPI)とは  
 
腐敗認識指数(CPI)は、TIが世界銀行や世界経済フォーラムなどを含む様々な信頼ある機関から情報収集し、各国の公共部門がどの程度腐敗していると認識されているかを測定し、算出したスコアです。180の国・地域を0-100で腐敗レベルをスコアで表しています(0が最も腐敗が多く100が最も少ない)。  
 
2021年ハイライト  
 
TIのレポートによると、世界平均スコアが43点であり、3分の2以上の国(68%)が50点未満でした。2012年以降、25カ国がスコアを大幅に向上させましたが、同期間に23カ国がスコアを大幅に落としています。  
 
2021年のトップはデンマーク、フィンランド、ニュージーランドの3カ国で、それぞれ88点を獲得しています。その他、トップ10は、ノルウェー(85)、シンガポール(85)、スウェーデン(85)、スイス(84)、オランダ(82)、ルクセンブルグ(81)、ドイツ(80)となっています。  
 
南スーダン(11)、シリア(13)、ソマリア(13)は最下位にとどまっています。  
ベネズエラ(14)、アフガニスタン(16)、北朝鮮(16)、イエメン(16)、赤道ギニア(17)、リビア(17)、トルクメニスタン(19)など、武力紛争や権威主義を経験している国は下位に位置する傾向が見られます。  ウクライナ侵攻前のスコアになりますが、ロシアは、29点でヨーロッパで最下位となっています。
 
日本は、73点で18位となっています。2012年以降、70台で大幅な変動なく推移しています。  
 
腐敗と人権問題の関係  
 
国際透明性機構(TI)のレポートでは、腐敗と人権問題の関係も指摘しています。  
 
2021年CPIの結果を分析したところ、腐敗防止を進めていくにあたり人権の擁護は極めて重要な要素となっており、国民の自由を侵害する国はCPIで低い評価となる傾向がありました。  
 
TIのレポートでは、「汚職は、政府が国民の人権を保障する能力を損ない、公共サービスの提供、司法の整備、万人のための安全確保に影響します。特に、政府高官による大規模な汚職は、通常、大規模で国境を越えた公的資金の搾取と重大な人権侵害が組み合わされている。」と言及しています。  
 
また、TIの分析によると、このような汚職の仕組みは、しばしばCPIで高得点を上げている先進国によって促進されるとのことです。特に先進国が、独裁者に以下を許すことによって状況を悪化させていると指摘しています。  
 
搾取した資金の利用  
 
主要な金融都市で共謀する銀行員、弁護士、不動産ブローカーを雇い、汚職者は不正に得た資金を蓄え、取り巻きに報酬を与え、権力をさらに集中させます。  
 
国外の悪い噂の隠蔽  
 
外国の政治家に賄賂を贈ったり、欧米の広報会社やロビイストを囲い込んだりすることで、権威主義・独裁政権は、その人権侵害に対する国際的圧力を和らげます。  
 
責任の回避  
 
秘密会社や匿名投資の悪用により、汚職者は法執行機関や司法機関から不正行為を隠蔽し、その罰則を免れます。  
 
日本は、汚職・腐敗リスクが低い水準にありますが、海外の汚職・腐敗に関与しないことは、非常に重要な点になってきます。  
 
腐敗認識指数(CPI)の活用  
 
顧客・仕入先のデューデリジェンスにおいて、対象企業(子会社、関係会社、役員、株主等を含む)の所在地(国・地域)は、リスク評価の重要な要素になります。CPIは、贈収賄防止はもちろんのこと、AML/CFTにも活用できる指標となっていますので、是非、取引先のデューデリジェンスに活用いただけたらと思います。各国のCPIは、以下のページから無償で確認できますのでご参照ください。  
 
国際透明性機構=Transparency International:  
https://www.transparency.org/en/cpi/2021  
 
Copyright Compliance Data Lab, Ltd. All rights reserved.    
掲載内容の無断転載を禁じます。