ACAMS日本第13回マネー・ロンダリング/金融犯罪対策コンファレンス参加レポート
今号では、9月7,8日で開催された「ACAMS日本第13回マネー・ロンダリング/金融犯罪対策コンファレンス」の参加レポートをお送りします。
プログラムは以下からご参照ください。 https://www.acams.org/ja/media/document/32076 個々のセッションの内容は、それぞれ講演者の了承を得る必要があるため、お伝えすることは出来ないのですが、コンファレンス全体の概要をまとめてお伝えします。 現在、特定事業者(金融機関及びDNFBP)の皆様は、FATF第4次対日審査結果のフォローアップのための国の行動計画を意識して対応を進められているかと思います。本コンファレンスでは、その対応における課題について、いくつか議論がありました。また、2025年より第5次相互審査が開始されるため、第4次対日審査結果のフォローアップだけではなく、第5次審査に向けた準備が必要との話が何度も聞かれました。 第4次審査のフォローアップの課題対応 第4次対日審査のフォローアップでは、「継続的顧客管理の完全実施」や「法人、信託の透明性向上」などが課題として挙げられていました。国の行動計画で、対応期限が2024年3月に設定されており、国の制度、運用がまだ完全に確立されていない中、各社独自に情報収集を試みていますが、十分に情報が集まらず苦労している様子が見られました。 第5次審査に向けて 第5次審査では、第4次に比べ、さらに厳しい内容になるようです。「有効性の評価」にさらに重点が置かれ、強化フォローアップとなる基準(閾値)が厳しくなるとのことです。求められる行動が高度化され、実質的支配者の透明性、信託の悪用防止、拡散金融、財産回復などへの十分な対応が求められます。 新たな技術・領域への対応 暗号資産、およびその他新技術(DeFi、NFT、ステーブルコイン等)についても、コンファレンスのテーマに取り上げられました。これら新技術が普及するにつれ、マネロン等のリスクが高まっています。コンファレンスでは、今年6月に公表されたFATFターゲットレビュー報告書の内容が紹介され、現在の課題が共有されました。
※FATFターゲットレビュー報告書の内容は、バックナンバーの第12、13号もご参照ください。 また、昨年に続き、環境犯罪に関するセッションがありました。環境犯罪は、摘発しづらく、ローリスク・ハイリターンと言われており、その規模も薬物、偽造品、人身売買に次ぐ第4の国際犯罪となっています。FATF第4次対日審査において、環境犯罪への対応不備について指摘があり、それを受けて、政府は、「犯罪収益移転危険度調査書」、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針」において、国際的な課題、リスクとして掲載しています。 今後、この環境犯罪への対応も注目されることになりそうです。まずは、環境犯罪を理解することが重要とのことで、イギリス政府が主導して作成された以下のサイトの紹介がありましたので、是非ご参照ください。 IWT金融対策ツールキット: https://themisservices.co.uk/iwt 以上、今号では、「ACAMS日本第13回マネー・ロンダリング/金融犯罪対策コンファレンス」の概要をお伝えしました。次号では、今年7月にFATFが公表した、「不動産分野向けリスクベース・アプローチガイダンス」の内容をみていきます。
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