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FATF勧告8(非営利団体 (NPO) 悪用防止)のパブリック・コンサルテーションについて

作成者: Hirofumi Yamazaki|Jul 21, 2023 5:22:00 AM

 FATF勧告8(非営利団体 (NPO) 悪用防止)のパブリック・コンサルテーションについて

前号では、6月21日~23日に開催されたFATF全体会合の内容を紹介しました。今号ではそのFATF全体会合で合意されたFATF勧告8(非営利団体 (NPO) 悪用防止)のパブリック・コンサルテーションについて紹介します。 

図1:FATF Public Consultation on draft amendment text 
Revision of R8 of the FATF Standards and its Interpretive Note

 
FATFでは、2022年6月の全体会合で、勧告8(非営利団体 (NPO) 悪用防止)と解釈ノートの改訂を検討することに合意し、関連する情報を収集し、必要な改訂を検討するためのプロジェクトチームを設置しました。 
 
現在パブリック・コンサルテーションが行われている、勧告8と解釈ノートの改定案は、そのプロジェクトチームによって作成されています。 
 
今までFATF勧告の改訂は、犯罪手口の多様化や新たな技術の広まりなどにより、より厳しい基準を設定するために行われることが多いのですが、今回の勧告8の改訂は、一部の国における、NPOセクターへの過剰な予防措置に対処するためとしています。現在の勧告や解釈ノートにより、健全なNPOの活動に悪影響を与えるような施策に繋がっているケースが見られるようです。 
 
第4次相互審査において、日本は、勧告8は、NC (Non-Compliant: 不履行)との厳しい評価を受けましたが、改訂後の勧告8の内容を踏まえ、NPOに対するマネロン・テロ資金供与などのリスク評価、低減を進めていくのと同時に、健全なNPOの活動に悪影響を及ぼさないような施策が必要になってくることが予想されます。 
 
今回のパブリック・コンサルテーションでは、特に、勧告8の解釈ノートで掲載されている各国がNPOに適用できる措置の例の表示の仕方について意見を集めたいとのことです。この措置の例は、勧告8の解釈ノートの本文に記載されているため、一部の国や法域において、強制的なものであると認識されている可能性があるとのことです。このような意図せざる結果を是正するために、例をどのように勧告、解釈ノートに表示するか、もしくは表示せず、ベストプラクティスに掲載するか、など意見を集めたいとのことです。 
 
改訂案は、以下からアクセス可能です。 
https://www.fatf-gafi.org/en/publications/Fatfrecommendations/R8-public-consultation-jun23.html 
 
改訂案に意見がある場合は、2023年8月18日(中央ヨーロッパ時間18時)までにFATF.Publicconsultation@fatf-gafi.org 宛に提出が必要です。 (現在意見の募集は終了しています。)
 
今号では、FATF勧告8(非営利団体 (NPO) 悪用防止)のパブリック・コンサルテーションについて紹介しました。次号は、先月公表されたFATF「暗号資産及び暗号資産交換業者に関するFATF基準の実施状況についての報告書」について紹介します。 
 
 

 

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