今回は、規制関連のアップデートに関する第7回の記事です。2024年2月26日~3月25日にアップデートがあった海外の主要制裁リストや、国内の制裁リスト、行政処分の情報をまとめてお届けします。
2024年3月7日に警察庁より令和5年度の「犯罪収益移転防止に関する年次報告書」が公開されました。本年次報告書によると、金融機関などが2023年に届け出て警察庁が受理した取引は前年比12万4612件増の70万7929件で、過去最多を更新しています。
これらの情報を端緒として都道府県警察が検挙した事件の数は 1,038 件、既に着手している事件捜査の過程において、疑わしい取引に関する情報を活用して検挙した事件の数は 2,160 件となっています。
その他検挙事例からみるマネーローンダリングの様々な手口などが報告されています。
*年次報告書が公開されている警察庁Webサイトへのリンクは「国内外制裁関連ニュース記事」に掲載していますのでご参照ください。
(2024.2.26~2024.3.25まで)
Ⅰ.【OFAC】 Office of Foreign Assets Control
Specially Designated Nationals And Blocked Persons List (SDN)
<制裁リスト更新情報>
https://ofac.treasury.gov/recent-actions/sanctions-list-updates
1. テロ対策指名手配・イラン関連指定:
香港3社
キプロス3社
マーシャル諸島3社
ケニア2社・4名
UAE2社
ウガンダ1社
バーレーン4名
ソマリア3名
イラン1名
イエメン1名
スウェーデン1名
(船舶)パナマ4隻 パラオ1隻
2. 麻薬関連対策指定:
メキシコ6社・15名
グアテマラ4社・3名
3. サイバー関連指定:
アイルランド2社
マケドニア1社
ハンガリー1社
ギリシャ1社
イスラエル1名
ポーランド1名
4. ロシア関連指定(サイバー関連含む):
ロシア14社・2名
UAE2社
中国1社・2名
キプロス1社
エストニア1社
5. イラン関連・核不拡散指定関連指定:
トルコ5社・2名
ロシア2社・2名
ドイツ2社・1名
イラン2社・2名
オマーン1社
6. ヨルダン川西岸関連・ロシア関連指定:
ヨルダン川西岸ハラミッシュ農場2社
イスラエル3名
ブラジル1名
7. バルカン半島関連・ニカラグア関連指定:
ボスニア・ヘルツェゴビナ3名
ニカラグア1名
Ⅱ.【Department of Justice (US)】
<制裁関連ニュース>
スイスに本社を置く国際商品取引会社Gunvor S.A.(ガンヴォー)は、米国司法省による海外腐敗行為防止法(FCPA)違反に関する調査を解決するため、有罪を認め、6億6,100万ドル以上を支払うことになった。(2024.3.1)
https://www.justice.gov/opa/pr/commodities-trading-company-will-pay-over-661m-resolve-foreign-bribery-case
Ⅲ.【UK】英国経済制裁リスト
<全資産凍結対象リスト更新情報>
Financial sanctions targets: list of all asset freeze targets - GOV.UK (www.gov.uk)
イラン3社・7名
中国1社・2名
イエメン2名
<関連ニュース>
マネーロンダリング、テロ資金供与及び資金移動(支払者に関する情報)規則2017(MLRs)は、英国の規制部門に対し、高リスクの第三国(HRTC)に関連して強化された顧客デューディリジェンスを適用するよう求めている。(2024.2.26 英国財務省)
https://www.gov.uk/government/publications/money-laundering-advisory-notice-high-risk-third-countries--2/money-laundering-advisory-notice-high-risk-third-countries--2
Ⅳ.【FATF/FinCEN】
<関連ニュース>
金融活動作業部会が、マネーロンダリング防止、テロ資金供与との闘い、核拡散防止に不備のある管轄区域を特定 2024年2月23日、FATFはケニアとナミビアを監視強化管轄区域リストに追加し、バルバドス、ジブラルタル、ウガンダ、アラブ首長国連邦をリストから削除した。(2024.2.29 FinCEN)
https://www.fincen.gov/news/news-releases/financial-action-task-force-identifies-jurisdictions-anti-money-laundering
(2024.2.26~2024.3.25まで)
Ⅰ.国土交通省
国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト (mlit.go.jp)
<更新情報>
- 建築業者:許可取消5社、営業停止9社、指示10社
2. 宅地建物取引業者:業務停止3社、指示5社
3. マンション管理業者:指示1社
4. 鉄道事業者:行政指導4社
5. 船舶運航事業者:輸送安全確保命令2社、行政指導5社
6. 貸し切りバス業者:輸送施設使用停止5社、警告5社、文書警告等8社
7. 自動車整備事業者:事業停止等1社、保安基準適合証交付停止3社
<指名停止情報>
指名停止措置業者 5社
https://www.mlit.go.jp/page/content/001590926.pdf
Ⅱ.経済産業省
<更新情報>
期間中の更新情報はありませんでした。
Ⅲ.財務省
経済制裁措置及び対象者リスト : 財務省 (mof.go.jp)
<更新情報>
1.米国等が資産凍結等の措置を実施した個人及び団体:
パレスチナ5名
レバノン2名
ヨルダン1名
2.クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者:
ロシア3名
3.資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の団体及び個人:
7社・9名(特定銀行)公共株式会社ロスバンク、株式会社ティンコフ・バンク
<関連ニュース>
FATF(金融活動作業部会)声明が公表されました(2024.3.15)
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/fatf/20240315.html
Ⅳ.厚生労働省
違反事例 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
<更新情報>
輸入時における輸入食品違反事例:
行政検査10社
検査命令13社
自主検査25社
モニタリング検査9社
Ⅴ.消費者庁
<更新情報>
景品表示法に基づく措置命令5社 課徴金命令4社 勧告7社
2024年2月
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/feb/index.html
2024年3月
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/index.html
<関連ニュース>
独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表について(2024.3.15 公正取引委員会)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240315kakakutenka.html
Ⅵ.金融庁
<更新情報>
課徴金命令 2社
https://www.fsa.go.jp/policy/kachoukin/05.html
<関連ニュース>
第一種金融商品取引業者に対する行政処分について(2024.3.8)
https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20240308/20240308.html
Ⅶ.環境庁
指名停止措置情報 | 環境省 (env.go.jp)
<更新情報>
指名停止措置事業者 1社
産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分情報検索結果 (sanpainet.or.jp)
<更新情報>
産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分 21社
Ⅷ.内閣府
指名停止(内閣府、内閣官房が独自に行ったもの)
<更新情報>
期間中の更新情報はありませんでした。
Ⅸ.文部科学省
お知らせ・利用ガイド・各種資料等(一覧)|文部科学省 (mext.go.jp)
<更新情報>
指名停止措置業者 7社
Ⅹ.総務省
個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について
<更新情報>
期間中の更新情報はありませんでした。
Ⅺ.農水省
公共工事建設コンサルタント等業務指名停止情報
<更新情報>
公共工事建設コンサルタント等業務指名停止 4社
農政局指名停止業者
<更新情報>
指名停止措置業者 9社
Ⅻ.その他
JRTT(鉄道・運輸機構)
指名停止等 | 競争参加資格 | 調達情報 | JRTT 鉄道・運輸機構
<更新情報>
建設業法違反行為及び贈賄に係る指名停止措置 2社
・国内外制裁関連ニュース記事
・警察庁 「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和5年)」(2024.3.7)
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm
・「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」等について 新たに特定事業者たる士業者(行政書士等、公認会計士等、税理士等)に対し、疑わしい取引の届出を義務付け(2024.3.25)"
https://www.npa.go.jp/news/release/20240325.html
・アップルがApp Storeを通じて音楽ストリーミングアプリを配信する市場における支配的地位を乱用したとして、18億ユーロを超える制裁金を科した(2024.3.4 欧州委員会)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_1161
・米司法省、商務省産業安全保障局(BIS)、および財務省外国資産管理局(OFAC)は、外国に拠点を置く個人および団体が遵守しなければならない義務に焦点を当てた共同コンプライアンスノートを発行。米国の制裁と輸出管理法、およびそれらを遵守しない場合は摘発のリスクを伴うことも(2024.3.6)
https://www.justice.gov/opa/pr/departments-justice-commerce-and-treasury-issue-joint-compliance-note-obligations-foreign
・欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会は、世界初となる人工知能(AI)の包括的な規制法案を可決した。規制法によると、最も重いケースで3500万ユーロ(約56億円)か、年間売上高の7%のいずれか高い方が制裁金として科される。EU域内で活動する外国企業も対象となる。(2024.3.13 欧州議会)
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240308IPR19015/artificial-intelligence-act-meps-adopt-landmark-law
・報道機関や出版社と記事使用料をめぐる適切な交渉を怠り、また拘束力のある約束の一部を遵守しなかったとして、Alphabet Inc.、Google LLC、Google Ireland Ltd、および Google France に 2 億 5,000 万ユーロの罰金を科した(2024.3.20 仏競争当局)
https://www.autoritedelaconcurrence.fr/en/article/related-rights-autorite-fines-google-eu250-million
・デジタル市場法に基づくアルファベット、アップル、メタに対する違反調査を開始(2024.3.25 欧州委員会)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_1689