FATFレポート

FATF第4次対日審査フォローアップレポート(2023年10月)について


今号では、2023年10月23日に公表された、FATF第4次対日審査フォローアップレポートの内容について紹介します。 

CDLブログ第6号_FATF第4次対日審査フォローアップレポート

図1: FATF Japan Follow-up Report & Technical Compliance Re-Ratingより引用 

本レポートでは、2021年6月のFATF全体会合で採択され、同年8月に公表された4次対日相互審査レポートでの法令整備状況(Technical Compliance)に関する指摘事項の対応状況について評価されています。

本レポートでは、有効性評価(Effectiveness)に関する指摘事項への対応については対象とされていません。 

以下が今回の評価となっています。(相互審査での評価→本フォローアップでの評価) 

勧告5(テロ資金供与の犯罪化):PC (Partially Compliant:一部履行)→LC(Largely Compliant:概ね履行) 

勧告6(テロリストの資産凍結):PC→LC 

勧告8(非営利団体(NPO)悪用防止):NC(Non Compliant:不履行)→PC 

勧告24(法人の実質的支配者):PC→LC 

勧告28(DNFBPに対する監督義務):PC→LC 

勧告25(法的取極めの実質的支配者):PC→PC(評価変わらず) 

 

今回のフォローアップの結果、日本の法令整備状況は、C(Compliant:履行):4勧告、LC:29勧告、PC:6勧告となりました。次回の日本からFATFへのフォローアップ報告は、2024年10月に予定されており、それまでにPCの勧告については、対応が進められると考えられます。(以下は、今回のフォローアップ後の日本の法令整備状況の評価)

CDLブログ第6号_図2_JapanFollowUpReport 図2: FATFウェブページ Japan's progress in strengthening measures to tackle money laundering and terrorist financingより引用 

 

 今回の評価の中で、弊社でも注目している勧告24(法人の実質的支配者)について内容を見てみます。全体的には、「実質的支配者(BO)情報の入手可能性について改善された」とされています。その改善の1つとして以下が挙げられています。 

「MER(相互審査)以降、日本は、株主名簿、法人リストシステムのBO、金融機関/DNFBPによる継続的なCDDという、異なる要素を組み合わせた追加的なメカニズムを導入した。」 

FATF Japan Follow-up Report & Technical Compliance Re-Ratingから抜粋、翻訳 

 ここでいう、「法人リストシステムのBO」は、2022年1月に運用開始された「実質的支配者リスト制度」を指しています。また、「金融機関/DNFBPによる継続的なCDD」は、明記はされていませんが、政府の行動計画の中の「継続的顧客管理の完全実施」を指していると思われます。 

一方で、未だ課題として挙げられているのは以下の項目す。 

24.2(法人のリスクアセスメントを改善する必要性) 

24.3(取締役に関する情報を含める必要性) 

24.4(一部の情報を含む法人の設立時とは別に、法人に関する株主、社員、監査役の情報を国内の所在地で保持する要件がない) 

24.5(社団法人・財団法人に対する情報更新義務の欠如) 

24.6(現在進行中の BO 情報取得手段の一部について改善の必要性) 

24.7(すべての DNFBPs に対する情報更新義務を含め、情報が可能な限り正確かつ最新のものであることを保証する上でのギャップ) 

24.8(国内に居住する自然人が、法人の基本情報または BO情報の提供について管轄当局に説明責任を負うこと、あるいは組合、社団または財団について同様の措置を講じることを義務付けていない) 

24.10(適時に情報を入手する能力に関する疑義) 

24.11(無記名株式の不正使用の防止に関するギャップ) 

24.13(制裁措置に関するギャップ) 

24.14(外国所轄庁への基本情報およびBO情報の迅速な提供に関する具体的要件がない) 

24.15(支援の質を監視する能力に関するギャップ) 

FATF Japan Follow-up Report & Technical Compliance Re-Ratingから抜粋、翻訳 

上記については、今後の第5次審査に向けて改善が必要な部分であり、また第5次審査では、改訂された勧告24の要件が評価の対象となるため、更なる取り組みが必要になります。加えて、注意しないといけないのは、今回のレポートは法令整備状況に関する評価であって、その法令等に沿って有効性をもって対応できているかは、第5次審査で厳しく見られるため、金融機関、DNFBPは、現在のガイドライン等の要件に沿った有効性ある対応を進める必要があります。 

<著者紹介>
 
山崎博史

コンプライアンス・データラボ株式会社     
代表取締役、CEO     
山崎博史(Hirofumi Yamazaki)     

富士通、NTTデータにてERPや規制関連システムの企画、開発に従事した後、米国系コンサルティングファームにてリスクマネジメントに関するコンサルティングを多数の金融機関等へ展開。2012年米国Dun & Bradstreet社の日本法人に入社し、プロダクトマーケティング責任者として、リスクマネジメントやコンプライアンス関連製品の国内リリース及び販売を推進。2020年より東京商工リサーチに転籍し、ソリューション開発部長としてコンプライアンス分野を中心にソリューションを展開、現在に至る。      

・公認グローバル制裁スペシャリスト (CGSS)     
・公認アンチ・マネーロンダリング・スペシャリスト(CAMS)      
・公認情報システム監査人(CISA)      
・米国ジョンズ・ホプキンス大工学修士(MSE)    

 

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