金融庁は、1月20日、「マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理(案)」(以下)を公表しました。この公表案に対するパブリックコメントを2月20日まで募集し、その後所要の手続きを経て正式に適用の予定としています。
「マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理(案)」の公表について(2025年1月20日)
https://www.fsa.go.jp/news/r6/ginkou/20250120/20250120.html
目次
-求められる有効性検証
-コスト面の制約があるからこそ有効性検証を
求められる有効性検証
金融機関においては、金融庁の要請に応じて2024年3月までを期限として自社のマネロン等リスク管理態勢を整備してきたところで、この期限以降は、整備した態勢が内外の環境変化などよって陳腐化することの無いよう、態勢の維持・高度化に向けた継続的な取り組みが求められるフェーズに変わっています。今般の文書では、態勢の継続的な維持・高度化にあたって重要かつ不可欠なプロセスとして、金融庁のマネロン等対策の有効性検証の基本的な考え方や進め方が示されたかたちになります。
なお、マネロン等対策における有効性検証という言葉は、金融庁が2018年に制定・公表し(その後複数回改訂し)ている「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」においても、例えばリスク低減措置などの複数の項目で言及されており、必ずしも新しい概念ではありません。一方で、今般公表された文書では『マネロン等対策における有効性検証の取組みを開始して日が浅い金融機関等も多い』としており、これを受け『本文書は、金融機関等が有効性検証を実施するための参考となる文書かつ金融庁と金融機関等との対話の材料という位置付け』としています。
こうした中、今般の文書では、有効性検証を『「自社が、直面するマネロン等リスクの特定・評価・低減を適切に実施していること」を確認する取組み』と定義した上で、
(1) マネロン等リスクの特定・評価が適切か
(2) マネロン等リスクの低減が適切か
という視点で、自社のマネロン等リスク管理態勢を検証するとともに、マネロン等リスクが顕在化した際には適時の有効性検証を実施すること、さらにはこれらを適切に推進する態勢を経営陣主導の下で整備することを求めています。
コスト面の制約があるからこそ有効性検証を
弊社の製品・サービスは、主に上記の(1)リスクの特定・評価プロセスにおけるUBOの特定やCDDやEDD等において、その実効性向上や効率化を支援するもので、弊社製品を導入いただいたあるいは関心を持っていただいた金融機関等の方々とはリスクの特定・評価・顧客管理プロセスについて情報交換をさせていただいています。
そうした中で、金融機関の方々からはコスト面の制約についての声も少なからず聞かれます。おそらく、これはリスクの特定・評価プロセスに限ったものではなく、上記(2)リスクの低減措置のほか、マネロン等リスク管理全般にもあてはまるものと推察します。
確かにマネロン等リスクを含めて多くのリスク管理に係るコストは、(損失を未然に防止ないし抑制することでボトムラインへの貢献はあるものの)直接に収益につながるものではないため、コストとしてとらえることは無理もなく、どこまでコスト投入できるのか、資源配分できるのかといった判断も難しいかと思います。申し上げるまでもなく、無尽蔵にコストをかけられるものでもありません。特にマネロン等リスクの場合、今般の文書においてもリスク事象が顕在化した際の影響として『経済的損失(事象への対応コスト、事象に起因するサービス停止・廃止等のビジネス機会喪失等)やレピュテーションの悪化等につながる可能性がある』と示されているように、信用リスクや市場リスクなどに比較して、リスク量や経営への影響を定量的に(金額的に)評価することが困難で、損益計算書や貸借対照表等への影響も見定めにくい側面もあると思います。
一方で、仮にコスト面が制約となって資源配分が不十分、対策が不十分といった状況があるとすれば、対策の有効性にも課題がある可能性が高いといえます。コスト面が優先され、マネロン等対策の有効性や実効性が等閑視されること、損なわれることは避けなければいけません。
そういった事態を避けるためにも、対策の有効性検証は重要です。経営陣主導の下、まずは有効性検証結果を軸としつつ、その結果をベースにとるべき対策や適切な資源配分・コスト配分やそれぞれの優先順位について、判断し推進していく必要があるでしょう。
この時期、金融機関のマネロン対策部署、コンプライアンス部署においては、来年度のマネロン等対策に係る年度業務計画を策定している最中と拝察します。来年度は、同時に、今般の有効性検証に係る文書が正式に適用開始となる年度ともなります。有効性検証の枠組みの強化あるいは構築、実施計画策定とそれに基づく有効性検証の実施など、求められる対応は決して容易ではありませんが、これまでに整備されてきたマネロン等対策の態勢を継続的に維持・高度化していくためにも、経営陣主導の下で適切な取組み・改善対応を進めていくことが求められています。
なお、現在金融庁から公表されている文書は、今後パブリックコメント等を経て最終化される過程で内容の一部が変更される場合があります。以上の内容のうち、今般公表された文書に係る記載は、現段階での公表文書に基づくものです。
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著者のご紹介

コンプライアンス・データラボ株式会社
プリンシパル
鈴木紀勝(Norikatsu Suzuki)
国内・外資の大手損害保険会社等において企業分野の火災、自然災害、ITリスク等のリスク評価やコンサルティング、損害調査・査定に従事したのち、米系リスクコンサルティングファームにて金融機関向けリスクコンサルティングを展開。
その後、金融庁において金融機関のバーゼル規制対応の審査や、大手金融機関のリスク管理やコンプライアンス・内部管理、海外管理・グループ管理等に係る検査・モニタリング、海外当局との調整業務に従事。また金融庁勤務期間中には米国ニューヨーク連邦準備銀行に出向し、外国大手金融機関のリスク管理や、サイバーセキュリティ等の検査業務に従事した。
2025年より当社に参画。
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