本年最後のブログでは、2024年の金融犯罪対策関連の出来事について振り返ります。
目次
- 米国FinCEN「実質的支配者報告制度」開始
- 国の行動計画、マネロン等ガイドライン対応の期限到来
- 新たな国の行動計画策定
- 金融庁マネロン等ガイドラインFAQ改訂
- 「リバトン」法人口座悪用で約700億円をマネロン
- 闇バイトが社会問題に
- 金融庁「法人口座を含む預金口座の不正利用等防止に向けた対策強化」要請
- 第3回 FATF第4次対日審査フォローアップレポート公表
- FATF第4次審査最後の評価レポート
1. 米国FinCEN「実質的支配者報告制度」開始
米国は欧州に比べ実質的支配者の透明性に対する取り組みが遅れていましたが、2024年1月より、FinCENにて「実質的支配者報告制度」が開始されました。
米国FinCEN「実質的支配者報告制度」開始 について(1)-CDLブログ2024/3/15
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240315
米国FinCEN「実質的支配者報告制度」開始 について(2)-CDLブログ2024/3/29
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240329
2. 国の行動計画、マネロン等ガイドライン対応の期限到来
2024年3月末はマネロン等対策において、一つの区切りとなっていました。1つは、2021年夏に公表されたFATF第4次対日審査の評価報告書に基づき、国が行動計画を発表し、その主な行動計画の期限。もう1つは、金融庁マネロンガイドラインの対応期限でした。ガイドライン対応に関しては、規程の整備を求められていました。規程の整備は、ほとんどの金融機関で対応が完了したとされており、今後は有効性の向上が求められます。ガイドライン対応状況や今後の有効性向上に関しては、金融庁「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)」に記載されています。
マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)-金融庁HPより
https://www.fsa.go.jp/news/r5/amlcft/20240628/01.pdf
3. 新たな国の行動計画策定
2021年夏のFATF第4次対日審査評価報告書の公表に合わせて公表された国の行動計画の期間が終了し、新たな3ヵ年の行動計画が策定されました。こちらは、FATF第5次対日審査を意識し、I.O毎に行動計画が策定されています。
政府「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」について(1)-CDLブログ2024/5/31
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240531
政府「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」について(2)-CDLブログ2024/6/21
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240621
政府「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」について(3)-CDLブログ2024/7/26
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240726
4. 金融庁マネロン等ガイドラインFAQ改訂
金融庁マネロン等ガイドラインの対応期間が終了し、リクスベース・アプローチにより実効性をさらに向上させることを目的に、ガイドラインFAQが改訂されました。SDD6要件や継続的顧客管理における情報収集手段、頻度の柔軟化が改訂のポイントでした。
「金融庁マネロンガイドラインFAQ改訂とpKYC (Perpetual KYC)」について(1)
-CDLブログ2024/4/12
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240412
「金融庁マネロンガイドラインFAQ改訂とpKYC (Perpetual KYC)」について(2)
-CDLブログ2024/4/26
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240426
5. 「リバトン」法人口座悪用で約700億円をマネロン
法人の悪用についてFATFでも重要視しているところでしたが、日本においては、その犯罪実態があまり明らかになっていませんでした。その中で、「リバトン」による法人口座悪用の事案は、衝撃的なものでした。
「マネロン事件1300口座の凍結依頼 大阪府警、130機関に」 ―日本経済新聞2024/6/4記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF048860U4A600C2000000/
6. 闇バイトが社会問題に
犯罪の実行役を高額な報酬で募集するいわゆる「闇バイト」が社会問題となりました。
スキマバイトの手軽さが不正の糸口?! 安全性を確保するために-CDLブログ2024/11/15
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20241115
7. 金融庁「法人口座を含む預金口座の不正利用等防止に向けた対策強化」要請
上記リバトン事案など預金口座の不正利用犯罪が増加する中、金融庁から「法人口座を含む預金口座の不正利用等防止に向けた対策強化」の要請文が公表されました。日本では、「SNS投資詐欺」、「ロマンス詐欺」などと言われておりますが、海外では、「Pig Butchering Scams(豚の屠殺詐欺)」と呼ばれ、日本同様に社会問題となっています。
金融庁「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」
-金融庁HPより
https://www.fsa.go.jp/news/r6/ginkou/20240823/20240823.html
「豚の屠殺詐欺」を止めろ!世界で被害総額11兆円超?! -CDLブログ2024/8/30
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20240830
8. 第3回 FATF第4次対日審査フォローアップレポート公表
3回目のFATF第4次対日審査フォローアップレポートが公表されました。本フォローアップレポートにより、不合格水準と言われる、PCおよびNCの数が0となりました。一方で、フォローアップレポートでは、有効性の評価が含まれておらず、また勧告1,4,15,24,25の改訂内容が評価の対象となっていませんので、第5次審査に向けて引き続き対応強化が必要な状況になっています。
第3回 FATF第4次対日審査フォローアップレポート解説 -CDLブログ2024/10/25
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20241025
9. FATF第4次審査最後の評価レポート
10月23~25日でFATF全体会合が開催され、第4次相互審査における最後の2か国(アルゼンチン、オマーン)の評価報告書が承認されました。今後は、第5次相互審査に入っていきます。第5次相互審査では、リスクベースでの評価が重視され、より有効性のある対応が求められます。
最新 FATF 全体会合報告 (2024年10月23日~25日開催)-CDLブログ2024/11/29
https://c-datalab.com/ja/blog/compliancerisk_20241129
◆「コンプライアンス・ステーション UBO」無償トライアルのお知らせ
国の行動計画において2024年3月を期限とした「継続的顧客管理の完全実施」や「既存顧客の実質的支配者情報の確認」への対応のため、「コンプライアンス・ステーションUBO」へのお問合せが増えています。
「コンプライアンス・ステーションUBO」は、国内最大級の企業情報データベースを基に、犯収法に沿ってオンラインで瞬時に実質的支配者情報等を提供するサービスです。DM調査で思うようにUBO情報が得られない、DM調査等のコストを削減したいなど、課題がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「コンプライアンス・ステーションUBO」については以下のリンクから詳しくご確認いただけます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000094258.html (2023年6月15日発表のプレスリリース)
なお、ご興味のあるお客様へ実際のデータを使った無償トライアルをご提供しています。
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著者のご紹介
コンプライアンス・データラボ株式会社
代表取締役、CEO
山崎博史(Hirofumi Yamazaki)
富士通、NTTデータにてERPや規制関連システムの企画、開発に従事した後、米国系コンサルティングファームにてリスクマネジメントに関するコンサルティングを多数の金融機関等へ展開。2012年米国Dun & Bradstreet社の日本法人に入社し、プロダクトマーケティング責任者として、リスクマネジメントやコンプライアンス関連製品の国内リリース及び販売を推進。2020年より東京商工リサーチに転籍し、ソリューション開発部長としてコンプライアンス分野を中心にソリューションを展開、現在に至る。
・公認グローバル制裁スペシャリスト (CGSS)
・公認アンチ・マネーロンダリング・スペシャリスト(CAMS)
・公認情報システム監査人(CISA)
・米国ジョンズ・ホプキンス大工学修士(MSE)
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